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「シゲさん、コイツ、本当に信頼できるんスか?」
省吾は裸の少女……千春に覆いかぶさる遠野を見て角倉に聞かざるを得なかった。
「………もちろん……だ……」
少し考えた後、角倉は約一年前の事件を省吾に語った。
「サキガミ事件、知ってるだろ?」
「サキガミ事件って……あの連続殺人事件のことっスよね?女子高生ばかりが6人殺されたっていう」
「13人だ」
「え?」
「首都圏で6人、全国で13人がヤツによって殺害された。関連性の証明ができなくて全部は公表していない」
「そ、そうだったんスか……」
「人数もそうだが、あの事件は特殊でな。証拠が一切なくて、動機も不明、迷宮入りと噂されていた」
角倉は当時のことを思い出すと全身に汗が吹き出る思いだった。当時、角倉もサキガミ事件の捜査班だった。
「捜査は難航していた。捜査が進まぬなか時間だけが過ぎていった。そんなとき、彼が……遠野くんが現れ、死者の記憶を読んだ。もちろん、最初は俺もそれを信じなかった。けれど、遠野くんの証言……死者の記憶を裏付ける証拠が出てくると信じざるを得なかった」
「な、なるほど……しかし犯人は……サキガミは……」
「ああ、そうだ……奴は死にやがった…俺の目の前でな……」
世間を騒がせた『サキガミ事件』は、犯人サキガミの自殺によって幕を閉じた……一般的にはそう思われていた。しかし、それには続きがあった。
「死ぬ寸前、ヤツは俺の目の前で他の事件について語りだした。被害者は他にもいる、そして何人かはまだ生きている……と」
「え?」
「…………だが、まもなく死ぬ……と……お前ら無能な刑事のせいで、女たちは死ぬんだ……と、そう言ってヤツはビルの屋上から飛び降りた」
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