死者の行方

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「シゲさん、また鑑識から電話っス」 午後8時を少し過ぎた頃、薄暗い遺体安置所のロビーに二人の男の影があった。 「死体はまだか?まだか?ってウルさいっスよ」 一人は今年刑事になったばかりの新人刑事、布施省吾(ふせしょうご)。 「んなもんテキトーに待たせとけっつってるだろーが」 もう一人は初老の刑事、角倉重久(かどくらしげひさ)だ。 「けど、死後早いほどいいってウルセーんスよ」 「フンッ あいつらどーせ早く帰りてーだけだろう」 「にしても何を待ってるんスか?」 「……何って……」 その時、外にタクシーが止まる音が聞こえた。 「ああ~来たようだ……」
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