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「あ、さくら。今日一緒に帰らねえ?」
「ごめん、竜一! 今日は例の日だから先に帰る!」
「あー、うん。じゃあな」
HRが終わり、教室から出たところで竜一は幼なじみのさくらと出くわす。さくらとは隣のクラスで、幼なじみということで帰る方向も同じなので、タイミングが合えば一緒に帰ることも日常的な出来事の一つだった。
けれど竜一は失念していた。今日がさくらにとってとても大切な日だということを。
毎週月曜日の夕方五時からやっているテレビアニメ、「仮面男子」の放送日だということを。
さくらは昔からとにかく漫画やアニメが大好きで、あちこちの作品に出てくるキャラクター達に夢中になっていた。今はこの「仮面男子」に出てくる主人公、夏生にお熱のようで、毎週月曜日の夕方は録画予約していてもリアルタイムで見たいらしく、放課後になると一目散に走って帰っていくのだ。
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