あいつを好きなお前、好きを偽る私

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 竜一自身もさくらに言われてそのアニメを見たことがあった。確かに似ているし、かっこいいし、話も面白い。けれどそれを一緒に隣で見ていたさくらに、「夏生かっこいいでしょ!? 家で素顔になったときに見せる笑顔がたまらなく可愛いんだよね!」と熱く語られ、複雑な気持ちになったのは、当時も今も変わらない。  月曜日の今日はさくらと一緒に帰れないわ、夜にはアニメの感想を長々と聞かされるわで、竜一にとっていいことなど何もない日。自然と重い溜息が口から零れる。 「どうせ今日の帰りは一人なんだし、コンビニでアイスでも買ってくか」  そう漏らして竜一は校舎を出る。竜一とさくらの家は学校から徒歩二十分ほどの距離にあり、その途中にコンビニもある。普段は買い食いなんてさくらと一緒に帰るときしかしない竜一だが、何となく今日は一人で何か食べたい気分だったので、アイスを買うことにしたのだ。
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