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 釣りもろくに出来ない能無しなんてごめんだ。  女に生まれたせいで海賊にもなれず、女性としての役目も果たさない私は、ただでさえ村で煙たがれられてる存在なんだ。  夕飯のおかずくらい自分で釣りたいのに、こいつときたら……。 「まあ、ベティ。いい知らせがあるんだって」 「は? サルモン、あんたの夕飯に関わることだぞ!?」 「何度も言うがな、ベティ。釣りは妻の仕事じゃない。魚なら、俺たち海賊が――」 「だからなんだよ、畜生!」  二十四歳。同じ年頃の女たちはみんな子育てに教育の真っ最中。中には海賊見習いとして息子を海に出す者もいる。  私には出来なかった。  父に決められた結婚だったとはいえ、私はサルモンを心から愛していたし大事にしたいと思っていた。  でも、宿ったと思った子は流産。それ以来、私は怖くなって拒否し続けている。  海賊は陸にいることの方が少ないというのに、夫が帰ってきても何事もない。いつしかサルモンも誘うことをやめてしまった。諦めてしまったのかも。  もう女として終わったな。  いや、終わりたくないからこうして釣りをしているわけだ。
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