act1。同級生

2/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「ねーねー委員長~。私、このあと塾なんだけど掃除当番代わってもらえない~?」 そう言って手を合わせて頭を下げたのは、学年で一番綺麗で男子から評判の高い女の子。 名前は結城さんだっけ。彼女の茶色い髪のつむじ頭を見つめて、手に持った箒を握りしめた。 「……うん。分かった」 「本当!?助かる~!じゃあ、お願いします~」 私の返答に顔を上げ嬉しそうに微笑む結城さんは、スクールバック片手に小走りで教室を出て行く。誰も居なくなった放課後の教室に溜め息が響いた。 塾じゃ仕方ないよね。さっさと終わらせちゃお。 高校に入学して一ヶ月。私、平子 光里(ヒラコヒカリ)は入学早々に学級委員と言う大役を任された。小さな頃から自己主張が苦手な私が意見出来るわけなくて、ずるずる今日までやって来た。 カーテンを閉めようとして、運動場で結城さんがクラスの女子と楽しそうに帰ってくのが見る。 ……結城さん。塾、間に合うと良いけど。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!