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「ももちゃんから、今日
『親友の葵ちゃんが来るから』って
ラインもらってたんだ。あ、俺
拓人って言います」
拓人は、きょとんとしたままの葵に
にこやかに続けた。
「ここでは、みんな『たく』って
言ってるから、葵ちゃんもそう呼んで」
「あ、はい。どうも・・・」
初対面で慣れない男性に
葵は、少し戸惑い気味で
そう答えるのが精一杯だった。
しかし、そんなことは気にしない様子で
当の拓人は、ニコニコと笑っている。
葵は、泳がせた視線を
オムライスに向けた。
クリームソースが、トロトロの卵の
鮮やかな黄色を引き立ていて
二人の食欲をそそった。
「さぁ、ここの新メニューに
してもらえるか?ジャッジをよろしく!」
拓人はそう言って
厨房に戻って行った。
入れ替わりでオーナーが
スープを運んでくる。
杏果がテーブルに置いてある
籠に入ったスプーンを
葵に渡すと、二人は
手を合わせた。
「いただきます!」
「いただきます!」
声を揃えた二人を
オーナーが覗き込む。
「二人とも、売り上げに
関わることだから厳しく、ね 笑」
一口食べたオムライスは温かくて
気持ちまで、ホッコリするような味がする。
二人は顔を見合わせて
ニンマリと笑った。
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