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「うん、平日はね」
葵は、また拓人に会えるかを
考えて、続けてバイトの曜日を聞いた。
男性に対して奥手な葵が
自分からそうできたのは
拓人に対しての安心感からだった。
でも、その安心感がなぜ持てたのかは
自分でもわからない。
「あとは、たまに土曜
それと日曜は、フルで」
「じゃあ、また会えますね」
自然に
葵はそう答えた。
「え・・・?」
拓人に、そう言われてから
葵はアタフタする。
「っていうかっ!
また会うだろうなって・・・
思って・・・」
しどろもどろになる葵に
拓人は、変わらず笑顔で微笑む。
「うん、またおいで」
至って自然に、そう言う拓人に
葵は、逃げ場を求めて
話題を変えた。
「たくちゃんって、どこの大学?」
「A大。葵ちゃんは?」
「A大っっっ?!たくちゃん
頭いいんだ!!!」
拓人が通っているというA大は
その地元の人だけではなく
他県からも入学者が殺到する
偏差値の高い有名大学だ。
「うん、まぁ・・ね。で、葵ちゃんは?」
「T大。とりあえずって感じで」
「そっか、あれ、ももちゃんと
同級生だから・・・2歳下かな?」
「そっか、そうなんだ〜・・・」
葵は『ふ~ん』と頷きながら
自分が、とても自然に話せていることに
気が付いた。
まだ会ったばかりの男性と
こうやって2人でいるのに
葵は、いつも感じる緊張や不安を
感じることがなかったのだ。
不思議に思った葵は
素直に、そのことも
拓人に聞いてみようと思った。
「ね、変なこと聞いてもいい?」
変なことと言われた拓人は
目をキョロっと大きくした。
「いいけど・・・何?」
「あの・・・わたしと
前に会ったことない?」
不思議そうに、聞いてくる葵に
拓人は、大きくした目をパチクリとする。
「・・・ない、と思うよ。どうして?」
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