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それから葵は、自分が人見知りなことや
こうやって、すぐに話ができることが
とても珍しいことを拓人に話した。
拓人はその話を
柔らかな微笑みを浮かべながら
聞き終えると、一言
呟くように言った。
「それって、前世かもね?」
拓人の突拍子もない話に
葵が、声のトーンを上げた。
「前世・・・?」
「そう。前世で会ってるから
今世で会っても、そんな気がするのかも」
突拍子もない話なのに
拓人は、どこか真剣な感じだ。
「そう、なのかな・・・?」
「うん。だとしたら、何かあるのかもね」
拓人は含み笑いをして
立ち上がった。
「店に戻らなきゃ」
「あ、はい」
「じゃ、気を付けて帰ってね」
「はい、じゃ・・・また」
葵は、スキップしだしそうな
気持ちを押さえて、駅に向かって
歩き出した。
振り返ると
拓人が手を振ってくれている。
ここから何かが始まる予感がして
葵は、大きく手を振り返した。
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