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タンポポさん。彼女は3才の女の子。
お父さんと午前中から公園に来て、池へ行ったり砂場に入ったり、とにかく忙しい。
私を見かけると「カメの飼い主さ~~ん」と大きな声で呼びながら、走ってくる。
その姿は仔犬そのもの。
お約束の、『途中ですっ転ぶ』を天然で披露してくれるのに、泣いたりしない。
嬉しそうに笑っている。
本当にタンポポみたいに可愛らしい女の子だ。
タンポポさんの特技は、物静かなお父さんとは対照的な弾丸トーク。
休む暇なんて1秒だってない、と思うほど口が回る回る。
こんなにおしゃべりな三歳児、初めて見た!
時々思い出したように「カメさんどこ?」と訊くから、「あそこにいるよ」と教えると、いることを確認するだけだったのか、だからといって何をするわけでもなく、独り遊びを交えながらひたすら話しまくる。
三歳児だからと侮るなかれ。
タンポポさんの話術は、私の何倍も素晴らしい。
この日摘んだ草花を持ち帰り、家にある花瓶に飾って留守番のママと弟に見せる予定だと、事細かく説明してくれた。
「この前ね、カメの飼い主さんがいなかったから、タンポポね、この岩の上に立って『カメの飼い主さーんどこにいるのー!?』って呼んだの!」
すかさず、お父さんが「泣きながら探してました」なんて口添えするものだから、尚更タンポポさんを愛おしく感じてしまう。
「タンポポさん、そろそろ帰る時間です」
お父さんがそう宣言する時が、タンポポさんの帰る時。
「カメの飼い主さん、またね~!」
何度もふり返り、手を振ってくれる。
とてもとても気になる、可愛い女の子だ。
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