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 望みを叶えてやろう。     その命と引き換えに     それでも 望むか  ? [1] まだ、この大陸には魔術が残っていた。伝説でしか残っていない国、まだ、探せば見つかる国。土地によって差はあったが、魔術を扱うことができる者というのは、希少種であり、表向きは、保護の対象とされていた。  ここは国も町も、魔術とは縁遠い場所だった。  山々に囲まれた、小さな町。町の東側を川が流れ、下流へ向かって町は広がり、上流に向かってしぼんでいく、風船の形をした町だった。背の高い建物は数えるほどで、同じほどの背丈の、オレンジ色をした三角屋根が、悠々と並んでいる。  しかし、そのオレンジ色は今、真っ白に染められていた。町に巡らされた石畳も、芝生の庭も、公園も、何もかもが。  昨晩降り出した雪は止むことも知らず、降り続いている。今年一番の積雪らしい。  除雪された道に新しく降り積もった雪を踏みしめながら、少年が一人、傘もささずに歩いていた。  名前はアクア。十一歳の少年。  少々伸びてしまった栗色のショートの髪と、琥珀の瞳。     
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