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カナに、別れ際、見せた笑顔は、二人に背を向けた時には早くも消えていた。面白くない、という色が、無表情の中に覗いている。
真っ白になった町のお陰で上がっていたテンションは、すっかり下がってしまった。素敵に見えていた雪景色が、重く映る。
アクアの表情を曇らせていたのは、カナ自身ではなく、カナとカナの母。
アクアは、家族を亡くしている。
普段、それをなんとも思ってない筈で、タスクという、自分を育ててくれている人もいるから、別に他人と変わらない、そう思っている筈だった。
「せっかくの雪なのに」
ポツリと呟いた独りごとが、雪に吸い込まれていく。
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