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タスクは、アクアにとって叔父に当たる。
「あ、ちょっ、アクア!びしょ濡れ……?傘は?持っていったろ?」
「あるよ、ここ」
アクアは、持っていたカバンをタスクに見せるように顔の高さに掲げた。
カバンの隅から、折りたたみ傘の持ち手が覗いていた。
「あるなら差して帰って来いよ。それから、とりあえず離れろ」
「やだ。ねぇ、今日のおやつ何ぃ?」
「ショートケーキ。食べたかったら、着替えて来いよ?」
「うん」
素直に頷いて、タスクから離れる。
アクアは、自室へ向かいながら、マフラーを外した。
アクアの部屋は、リビングのすぐ隣。
リビングから直接通じる部屋の扉を開ける前に、アクアはタスクを振り返った。
「タスク、今日お客さんあったの?」
「ねぇよ。何?」
「玄関のとこに、人がいたよ?」
「どんな?」
「えっとねぇ……」
男の姿を説明しようとして、アクアは、眉を潜めた。
「あれ?」
全く思い出せない。
つい数分前に見かけた人なのに、欠片も覚えてなかった。
「忘れたみたい……。でも、いたんだよ、ホントに」
「なんだ、そりゃ」
タスクは、わけがわからないと、アクアを見つめた。
「あれ~?」
呟きながら、アクアは自室へ入った。
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