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学校での聴取
脅迫状のうちの何枚かを引き受け、バインダーに収納した。紫音の身辺調査の際の参考資料だ。
里佳子から教えてもらった住所をたどり、紫音が通っていた高等学校へと着く。ちょうど体育の授業中でグランドでは、サッカーの練習試合が行われていた。
職員室のドアをノックし、入る。弥佐暮は、紫音のクラスの担任に面会の了承を取っていた。担任は、禿げあがった頭をした細身の男性。宇都宮紫音の名前を出すと、途端に渋い顔になった。彼女が凄惨な死を遂げたのは、先月のこと。まだ傷は癒えない。
「彼女は成績も優秀で、生徒会の役員をやっていました。いつも笑顔を絶やさない明るい子で、男女問わず慕われていました。みんな、あんないい子が、自殺するなんてって」
いい子、弥佐暮はその言葉に妙な引っ掛かりを覚えた。里佳子も、紫音のことを頻りにそう形容していた。もっとも、妙に引っかかったのは、自身の生い立ちのせいでもあるかもしれない、と弥佐暮は思い直した。
「紫音さんのこと、詳しい人はいませんか」
担任は、紫音とよく遊んでいたというクラスメイトを紹介した。ちょうどあと十分ほどで昼休みになるのだという。
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