脅迫状

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 籠目籠目 籠の中の鳥(何かの暗喩か?)は 何時何時出やる?  夜明けの晩(どの時間帯を指すかは不明)に   鶴と亀が滑った(長寿の象徴とされる動物が滑る。不吉な予兆を指すのか、あるいは、死を表している?)  後ろの正面(背後で正面を向いている人?)、だあれ?  ひらがなだった歌詞に、漢字をあてて、括弧の中に考察を書き記す。  最後の、「うしろのしょうめん だあれ」には、「私を殺したのは誰?」という解釈があった。胴体から首が切り離され、首だけが転がって、胴体は正面を向いているのに、首は後ろを向いている。そして、その首の口が動いて「私を殺したのは誰?」と問いかけて来るのだという。  物語としても面白い、それに、少女の自殺と関連付けられそうだ、と弥佐暮は考え、この項は念入りにメモを取った。  弥佐暮も、「かごめかごめ」の伝承だけで、死んだ紫音が残したメッセージが解読できるとは思っていない。ここに彼女の身辺調査の内容を照らし合わせて考えるつもりだ。  ぱたり、と本を閉じて席を立つ。すると、依頼者との通信用に使っている簡易端末に着信が入る。マナーモードにし忘れていて、大きな着信音が館内に響いてしまった。赤面しながら、そそくさと図書館を後にする。  緑地公園のようになっている入り口のところで、電話に出る。  電話の向こうで里佳子の声が震えている。娘が自殺したことを打ち明けたときは、悲しみに震えた声だったが、今のそれは恐怖に震えているようだった。 「弥佐暮さん、今すぐ来てください。お願いです」      ***
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