第1章 天界軍人編-プロローグ

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第1章 プロローグ  土砂降りの雨。ぬかるんだ地面へさらに雨が打ち付けている。  暗闇のあちらこちらから炎が上がり、足元はゆらゆらと照らされていた。水溜まりに炎が映りさらに明るさを増す。  忘れもしないその光景……。その時の雨の匂いまでも思い出せそうなほど。  地面へうつ伏せになった白い羽根が見える。それも一人二人ではない。  倒れた仲間を見て俺は震えていた。  その中心に見知らぬ人影が佇んでいる。赤黒い長髪に白の軍服。そして禍々しい真っ黒の悪魔の翼。  背中は雨の中、刀を握った状態でその場に立っていた。  佇む悪魔の足元には純白の髪をした女性の背中が横になっている。悪魔が握る刀からは真っ赤な血が流れ落ちていて、足元に倒れた彼女の純白の髪を赤く染めていた。  男は顔にはのっぺりとした黒い仮面を着けている。その仮面には返り血が付き、不気味さが増していた。目の前の不気味な仮面の男は土砂降りの雨の中、佇みこちらを見ている。  表情を隠した黒い仮面に雨の雫が滴り落ちていく。気持ちがかき乱され恐怖が襲う。  俺は何度も彼女の名を呼んだ。しかしその声は倒れた翼には届いていない。 「お前が殺ったのか!」  そう叫び地面を蹴り上げ、目の前の人影を斬りつけた。  黒い翼の人影は俺の斬撃を刀で受け止める。 「お前がッッ!」
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