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その時、お兄ちゃんと声が聞こえ、公園の入り口から小さな女の子が走って来た。
少年は小さな女の子に気づくと、涙を拭って笑顔を作り小さく手を振った。
そして、慣れた様子で女の子は少年の膝の上に座った。
その後ろからは、女の子のお母さんらしき若い女性がやってきた。
大きなお腹を撫でながら、私の隣に腰かけた。
少年は小さな女の子に手を引かれ、砂場に遊びに行ってしまった。
私は、女の子のお母さんに小学校の音楽教員である事を伝えた。
すると、女の子のお母さんは、砂場で遊んでいる少年と娘の様子を見ながら、私に向かって言った。
「あの子、いい子よね。少し前にね、あの子がベンチで座っている隣に私と娘が座ったの。買い物で疲れちゃって。娘は気になったのか、あの子の事をじっと見つめていたら、遊ぶ?って誘ってくれてね。あの子と砂場とかブランコで遊んでいる娘が楽しそうで。私、出産ももう近くて、あんまり娘と遊んであげられなかったから、助かっちゃって」
確かに少年と遊んでいる小さな女の子は、楽しそうに笑っている。
それは少年も同じだった。
「娘は人見知りなんだけど、何故かあの子にはすぐに懐いちゃって。不思議な子よね。きっと、優しいって子供の直感でわかるのね。もう一人生まれたら、この子も遊んでくれるかしら」
そう言って、女の子のお母さんは笑った。
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