第一夜 二人

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 目を開けたら、何もなかった。  上下左右、見渡す限りの強烈な白。真っ白。  ここはどこで、何故僕はここにいるのか――あぁ、夢だ。そうか、これは夢なのか。  僕は自分の頬を少しばかり引っ張ってみる。痛くない。間違いない。夢だ。  上半身を起こし、立ち上がってみる。……うん、特にどこも痛くない。あまりに周囲が白すぎて、目は痛いけど。  歩いてみた。目印がないから、どの方角を向いているのか分からない。ただ、ずっと白い。  よくわからない夢。でも普段と違う夢。だって、僕は自分でこれは夢だと分かってるから。  ……ん?何か棒のような物が建ってる。もっと近くで見てみよう。  棒との距離が縮まってきた。あ、違う。棒なんかじゃなかった。遠くからだと黒い棒にしか見えなかったけど……。  あれは――人、だ。誰かが立ってる。こんな白い所で。  歩き疲れたし、話しかけてみようかな?あの人ならここがどこか知ってるかも。 「あの……」 「……なぁに?」 「ここ、どこ……ですか?」 「さぁ?あなたが一番よく知ってるんじゃない?」 「覚えないなぁ……。えーと、お姉さんはここで何してるの?」 「んー?何もしてないよ?ただ……、不思議なこともあるんだなぁって。考えてただけ」 「不思議なこと?」 「今こうして、あなたと話してること」 「……?普通じゃないの?」 「あなたにとってはそうでしょうよ。私はこんなの知らない」 「お姉さん、変なの」 「変じゃない。いつもそう言われるけど、ちゃんと意味ある行動してるんだから」 「誰に言われるの?」 「あなた」 「……え?僕?僕はお姉さんのこと……、知らないけど」 「嘘つき」  お姉さん、急に真面目な顔して。初めて会うのに、知らないのに。なんか知ってる気がする。  どうしてって聞こうとしたら、目が覚めた。夢から、醒めた。
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