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左の個室は空室
母が耳の手術をした。
年のせいも、
ストレスも、
色々重なって
両耳の聴力が危うくなったので
とにかく片耳だけ
耳の中に落ち込んで癒着した
小さな管を取り除くために、
皮膚を切り開き
骨を削り
残してはいけない部分を削り
「細胞再生」の手術を施した。
手術は無事に終了。
術後も良好。
これから「聞こえる」世界を母は生きる。
その娘の私はと言うと
物心付く頃から左耳難聴で、
聞こえていた世界の記憶がない。
ずっと右側の世界にしか音がない。
慣れたとは言え、
今更ながら、
いつでも泣きそうになる
コンプレックスの塊である。
右耳しか聞こえない事実。
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