親友

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「全然だいじょうぶだよ?笑」 出来るだけ自然な笑顔でそう応えた。 だが、長年の親友にはその笑顔はいつもと違うことが分かったらしい。 「話聞くよ?」 その言葉に私は甘えることにした。 「私さ、あと5年で死んじゃうんだって。手術をしても生存率は50パーセント。でも親が手術はするお金がないからって断っちゃってさ。笑っちゃうよね。今まで1番近くで過ごしてきたはずの親に見捨てられるとか…。まだしたいこともたくさんあるし、大人になったら看護師になってたくさんの人を助けよう!って思ってたのに…これじゃ、私が看護されちゃうね…笑」 ふと親友の方を見ると涙目になっていた。 あとから聞いたところによると私の方が辛いのだから自分が泣くのは間違っている、と泣くのを我慢していたらしい。 そんな涙目になっている親友を見ると私はちゃんと生きていた意味があったのかなと思えた。こうして私の死に対して泣いてくれる人がいる。そう思うと少しだけ心が軽くなった気がした。 そして、この日から私は学校でも家でも泣くのをやめた。親友のためにも。自分のためにも。 泣いていても現実は変わらないのだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!