君を待ち、月を読む

一人と一羽

　小屋の中には美味しい匂いが残ったままだ。
「何なんだ。今の暮らしはどうなるの。それに事件って何。嗚呼。何だか疲れたよね、クロ？」
「とりあえず、さんぺい汁旨い！」
　まるで何事もなかったかの様に、クロはさんぺい汁を貪っていた。その姿に、ツキユミは笑いこそすれど、胸のざわつきが消えなかった。