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子供と大人
オオクニは、スサノオとイワナガと共に今すべき対策について話をしていた。その中でオオクニは、自分たちの持つ能力の意味について考えていた。
天意は何故、この様な仕掛けを施したのか。何の意味があって、与えられたのか。昔、天上独官に聞いた時、天意は既に天意であったから答えなどない、と一刀両断されてしまっていた。
「オオクニ!」
イワナガの大きな声にオオクニは肩をびくつかせた。
「す、すまん。何だったか?」
能面なイワナガの顔が、鬼の様な形相へと変貌した。
「護護の上に立つお人が! この緊急事態に何をぼさっとしているのよ! こんの性欲お化けめが!」
あまりの気迫と、それにそぐわない蔑みの言葉に、流石のオオクニも心が痛んだ。
「せ、性欲お化けってのは酷過ぎるだろう!」
思わぬ言葉に、スサノオは声を殺して笑っていた。
「俺にも考えることがあってだな」
「今、考えるべきことは! あの大蛇をどう血祭りに上げてやろうかしら、ということよ!」
まるで先程のアマテの様だ、とスサノオは冷や汗が止まらなかった。一旦、呼吸が整うまで間を取った。そしてオオクニが口を開いた。
「なあ、イワナガ。俺たちには能力があるよな?」
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