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「おかえり」
「ただいま。美奈ちゃん。お弁当買ってきたから、机を拭いてね」
「はーい」
お母さんは帰ってきてすぐにそう言った。私がふきんで、私の部屋の隣の、パパとお母さんの少し大きな部屋にある、丸くて、食卓のそれより低い机を拭いていると、パパがお弁当を持って入ってきた。そして、私が机を拭き終えると、パパはお弁当をそこに置いて並べた。お母さんは、私達の麦茶を用意して、こちらに来た。そしてパパは、仏壇のお線香を焚いて、りんを鳴らして手を合わせた。それに続いて、お母さんと私もりんを鳴らして手を合わせた。
「あっ。もうそろそろじゃないか?」
「そうね」
パパとお母さんは、そう言ってその部屋に入った。私もその中に入った。
小さな湖の近くの田舎町のアパートに住んでていいことは、お盆に湖で行われる花火大会の花火が、家のベランダから見えることだ。
「わぁ。綺麗」
お母さんはそう言って、窓からの花火を見ていた。パパは、あぁ。とだけ言って、それを見ていた。私は、なすきゅうりも、なすの牛に乗っている間にこれを見ていたらいいな。と思いながら、部屋の開けっ放しの扉の向こうの、真上に上がっている白いお線香の煙を見てから、窓の外の花火に目を移した。
「綺麗ね」
と、食卓の方から吹いた風に乗って、なすきゅうりの声が聞こえた。私はすぐに食卓の方を振り向いたが、そこには何も無かった。
「うん」
私は食卓の方を見ながら、そっと呟いた。そして再び、花火の方に目を移した。
その日食べたお弁当の卵焼きが美味しかったこと。次の日に、パパがその卵焼きの大きなやつを買ってきて、三日は持つわね。とお母さんが言ってたこと。それで、三日目。少し酸っぱくなってた卵焼きに、三人仲良くあたって、その日は三人交代でトイレに行って大変だったこと。は来年のお盆に、きゅうりの馬に乗って来るなすきゅうりに話そうかな。と思いながら、私は、一連のことを記した日記帳を仏壇に置いた。
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