週末に張り付いた残滓

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どんな事件が起きたのか、具体的なことまでは聞かずにいたが、室内は全てリフォームされていて新築のアパートへ引っ越したかのようなお得感を味わい、俺は余計にその部屋を気に入ってしまった。 そうして、新たな住み家を得て数日が経過した頃、俺の身に不思議な現象が襲いかかった。 夜中の二時ぐらいになったとき、突然部屋中に血生臭いにおいが充満し、俺は吐き気を催しながら目を覚ました。 いったい何だと困惑しながら身体を起こし、部屋の電気を点けるも、特に異常は見当たらない。 ただどこからともなく血の濃い臭いだけが漂ってきて、俺は我慢できなくなりコンビニへと避難し三十分ほど時間を潰して様子をみた。 それからまた恐る恐る部屋へ戻ると、微かに残り香はあるものの生臭さは薄れていて、夜が明ける頃には完全にその臭いはなくなった。 おかしなことに、この現象は金曜日の夜になると必ず起こり、その度に俺は吐き気を堪えながらコンビニへ逃げるということを繰り返していたのだが、半年が経過しても一向に収まる兆しがなかったため、さすがにこれ以上はキツいと判断し、仕方なくその部屋を手放すことにした。
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