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知ってるよ。
腹の底で言い返しながら、少女は女の背から少しだけ顔を覗かせた。
夜の闇が薄れたところに、その人は立っている。
徐々に明るくなっていく世界の中に、その人はいる。
見たくないのに、目が離せない。
ぼんやりとした朝の気配の中で、その人は恐ろしいような顔をして笑っていた。
「新月の夜に会いましょう」
少女は鼻先を女の体に押し付けた。
「…大キライ」
キライキライ。
大キライ。
燃え尽きた体が音を経てて崩れた。
もう誰も女の子のことなんて視ていなかった。
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