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第二話 真っ白な世界で
「うーん……ここは?」
目が覚める。私は目を擦りながら
目が覚めたけど、いつもの私の部屋の天井に吊された電灯が見えない。
私の目の前には何もなく、ただ白い光景が、眼下に映し出されているだけ。
あたりを見渡して見るも、案の定なにもない空間で、私がどこを見ているのかさえ分からなかった。
でも、これだけは分かる。真っ白な世界が私を包んでいる。ということが。
――誰かに襲われて、マンガとかに聞くクロロホルムが含まれていたハンカチか何かの布が口と鼻を覆ってきて、私はにおいを吸って眠ってしまったから夢を今見ているんだ。
きっとそうだ、これは夢に違いない。早く起きて夢から醒ますべきなのだ。
そう思って、私は自分の頬を抓ってみた。
「い……いひゃッ!? 痛い、ということはこれは現実……? でも、現実世界にこんな場所なんてあるのかなぁ……?」
抓った箇所がじんわりと痛さを含む頬を優しく撫でながら、真っ白に染められた空間に首をひねる。
「とりあえず、出口を探さなきゃ」
いつまでも同じ場所にいても(といっても白い視野が広がるだけでどこにいても同じように見える)、あまり進展がないと思い、私は歩いてみることにした。
踏みしめる地面の感覚がなくても、(確信がある訳じゃないけれど、)確実に前に進んでいるように思えた。
どのぐらい真っ白な世界を歩いたのか、時間を知るすべもないため分からない。動かす足が悲鳴を上げているから結構歩いてると思う。
けれど、行く先に真っ白な空間にぽっかりと空いた穴が見えるようになった。
その穴を見て私は歩く速度を上げ、走るつもりはなかったけれどその穴に走り出した。
穴との距離は数十メートル程。まもなくして、私は穴の近くにたどり着いた。
穴の大きさは人が1人入れるぐらいの大きさで、中は私の後ろの背景とは全く異なるほど対極している暗闇だった。
そんな穴に私は好奇心を持ってしまって、そっと穴の中を覗いてみる。
やはり、殆ど暗くてなにも見えないけれど、一番小さい光が最終到着点で暗い道を照らす道しるべのように思えてきた。
「穴っていうより、トンネルね。入ってみましょ」
私は、誰に言うまでもなく一人ごちて、穴の中へ――トンネルへと足を踏み入れた。
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