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それから何事もなく森を抜けた先に目的地を見つけ、そこに停泊することになった。
勇者の持っている証明書を見せると何もかもが待遇されるようで、証明書となる帯刀した鞘に描かれている紋章を見せると快く快諾してくれた。そして私たちは宿で別々に部屋を取ることにした。
「あ……! そうだ!!」
それぞれ部屋へ向かう際中、とあることを思い出して私は二人に話しかけることにした。
「アンディアちゃん、フルジュさん。あの時は有難うございました!」
「あの時……?」「?」
二人の名前を呼んで、立ち止まってくれた二人に勢いよく頭を下げると、双方とも首を傾げて聞いてきた。
「……セリシアさんの説教を止めて下さったじゃないですか」
「あぁ、あの時か。それで?」
納得したフルジュさんは頷くと、なぜか威圧的に尋ねてきて、驚いて畏縮しながら上目に見上げる。
「まだ、お礼を言ってなかったと思いまして……」
「そっか、別に気にすることはないさ。動けなかったのには何か理由があったんだろう? あとで俺に相談しにくるといい。なんなら背中を流してやる」
威圧的だったフルジュさんはパッと爽やかに笑い、バシバシと力加減の知らず掌が背中を強打させる。
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