4人が本棚に入れています
本棚に追加
それに加え、親指を胸に指して「頼ってくれ」というようにウインクをしながら驚く言葉を口にした。
「ふぁ!? せせせせせsなかっっっ!? いえ! 遠慮しておきます!」
「ハハハ!! そんなにパニックになることでもなかろうに! まあ、気が向いたら声をかけてきてくれ!」
たじろぐ姿をみて豪快に笑ったフルジュさんは、掌をひらひらと振りながら立ち去って行った。
「どうしたの?」
「え。え、ええっと……」
顔を真っ赤にさせてると自負しながら、取り残されたアンディアちゃんの無邪気な眼差しに戸惑いながら、視線を合わせるようにしゃがむ。
「ご……ごめんね? 不甲斐ない勇者で……」
「ううん。ふがいなくないよ。ゆうしゃさまはがんばってるのアンディアしってる」
「慰めてくたり励ましたりありがとね」
話しを逸らすことに成功したとはいえ、アンディアちゃんの励まし方に胸がジーンとなりながら、彼女を抱きしめた。
とはいえ、この世界に来たのは今日が初めてで、私の器になっている”勇者様”のことはさっぱりわからない。だからこそ、アンディアちゃんのてっぺんを撫でた。
撫で終わり、小さい花がアンディアちゃんの頭に浮かんでいるのを見つけて、微笑ましく思いながら、互いに手を振って別れた。
「……」
そのやり取りを不機嫌そうに見つめる光があるのを私は知らない――。
最初のコメントを投稿しよう!