第五話 最悪な事実

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露天風呂は宿の離れに位置していて、少し迷ってしまったけれど、なんとか辿り着くことが出来た。 「混浴かぁ……」 入口付近に立て看板が置かれ、看板には【ここの露天風呂は混浴です】と書かれていた。 そして暖簾にはベタに赤と青で男女別々に仕切りされている様で、私は赤の暖簾をくぐって脱衣所に入った。 脱衣所には誰も居らず、壁沿いに立てられたロッカーにも浴槽に人がいないことの証明として、鍵が全てに刺さったままになっていた。 私は真ん中に位置したロッカーを使う事にして、部屋から用意してきたお風呂セットを床に置いて、衣服を脱ごうとした。 「うーん……この服脱ぎにくい……というか順番がありそうで、無理やり脱いだらごっちゃになりそう……」 私がきている服はさすが勇者と言われるだけあって重装備……ではなく、守るためのプロテクターやら、至る所にあるベルトがあって、1つずつ外さないと脱ぎにくい仕様になっていた。 「ふぅ……って、ん? なんかおかしい気が……」 首元に1つ、胴体に3つ、腕には2つのベルトを外して、やっとの思いで上半身を脱ぐ事に成功して、現した身体に違和感を覚える。 元の身体は太りすぎず、痩せすぎずの体型をしていて、少し出た腹回りだったはずのお肉は、筋肉に変換されたように引き締まり、うっすらと4つ程、腹筋が割れていた。 そして何より、丸みの帯びたありすぎず無さすぎずの胸は、押し潰されたかのように四角くなって、触ってみると少し張った胸筋の手触りだった。 「(あ、あれ? なんか、いやーな感じがする……)」 その感覚から、嫌な推測が頭の中に渦巻いた。
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