第五話 最悪な事実

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「変態とは言葉のあやですな。男同士であれば身体を称え合っても許されるものであろう? それに、先の言葉は変な意味ではない。……健全な男の肉体に惚れ惚れしてもいいだろうに……」 「そのこと自体が変態じみているのでは?」 ――な……なんで……ッ! 下の方が熱くなって……って、なんかタオルが盛り上がってきたんですけど――ッ!? 私女なのに、この身体はやっぱり男の子なんだ――! 少し喧嘩腰な会話を二人の間で聞きながら、頭に当たる胸の感触になぜか身体は、特に下腹部が熱くなってきているような感覚に陥って、私自身は平たんだったはずのタオルの不思議な現象に、核心の確信をしてしまった。 「ゆうしゃさまー!」 「お二人とも……勇者様を挟んで……何をなさっておいでですの?」 そうこうしている間に風呂に入りに来たのか、私たちを見つけてパタパタと走り寄ってきたアンディアちゃんと、フルジュさんとセリシアさんの二人を交互に見ながら呆れてソフィーさんもやって来て、これで露天風呂にパーティーメンバーが揃ったのだった。   *   *   * 「騒がしかったなぁ……」 私はこれ以上、露天風呂に居られる自信がなく、先に上がる、といって風呂から上がった後、下の方を見ないようにしながら、忙しく着替えて自室に戻った。 なんとなしに窓を開けてみると、みんなはまだ浸かっているのか、小さな音か声が聞こえてきて、他の客に一連の騒ぎが聞こえていたのかと恥ずかしくなってきた。 「……気にしたら負けだよね……。ふあっ」 他の客がいないように祈りつつ、不意に出た欠伸を噛み締める。 「寝るかぁ……欠伸も出ちゃったことだし」 大きく伸びをして、備え付けられたベッドに倒れる。 すぐに眠気が襲ってくるように、うつらうつらとしていく意識を手放して、私は眠りに興じるように瞼を閉じた。
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