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それから、私と朱梨は”宿題お疲れさま会”をして、労いの言葉を交わし合った。
苦痛の宿題から解放された後のお楽しみはとても楽しかった。
楽しい時間は日もすっかり落ちたことでお開きになり、私は朱梨の家から帰ることになった。
朱梨とは玄関まで送ってもらって手を振りながら別れて、見えなくなった朱梨に寂しさを感じながら帰路に着いた。
私の家はちょっとだけ、朱梨の家から遠い場所にある。
いつも通っているはずの道路は真っ暗で、ぽつぽつとある電灯の光を頼りにしてるけど、一人で夜中で家に帰るのはなかなか怖いものだ。
それに夜だから、真っ暗の陰から誰かが現れてくるのか分からない。近所では不審者の目撃情報はあまり聞かないけれど、慣れない暗さに私はちょっとした不安と好奇心で私の心を高鳴らせていた。
ポツポツと一定距離を保ちながら立っている街灯と月明かりに照らされた道をゆったりと歩いた。
夏が終わりそうな季節であっても、夜でも暑いため、歩くだけでも汗がジワリと私の背中に滲んでくる。
「もうちょっと涼しくなっていても良いと思うんだけどな~」
誰かに言うまでもなく、大げさに呟く私の声は虚しく住宅地に吸い込まれていった。
コツ……コツン……
「(誰か私の跡をつけてきてる……?)」
友達の家から出て数十分後、私の家までまだ距離があるのだが、つい先ほどから今まで聞こえてこなかった誰かの足音を耳にした瞬間、緊張とともに暑さによる汗とは違う冷や汗が背筋を這った。
一定の距離をキープされ、後ろを着いてくる気配に、私は焦燥感と恐怖心が交互に現れ、心臓はバクバクと五月蠅く暴れていた。
「…………」
私は足を家に向かって競歩のアスリートさながらのスピードで後ろの気配から逃げようとした。だけど、後ろの足音は遠くなることはなく、逆に距離を積められているような感覚に私は焦った。
それはまるで、私が競歩の選手だとすると、相手が競歩のルール無視して追い越そうと走ってきた選手のようだった。
「……ッ!」
だんだん近づいてくる足音から競歩じゃ追いつかれると思い、私は競歩から徒競走で逃げることにシフトチェンジした。
「~~~~ッ!? …………(カクン)」
が、時すでに遅く、私は後ろの気配に追いつかれ、口元に布があてがわれたと思いきや、私は一体全体どうなってしまうのかな――と考える暇もなく、すぐに眠気に負けて眠りに落ちてしまった。
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