その二

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 入学して二週間が経ち、初の席替え。クジで決まった高野君の席は教室の窓際、前から三番目の席。僕は残念ながら高野君の前後の席を獲得する事は出来なかった。でも、女子を一人挟んで横の列。女子が邪魔ではあるけど、日を受けた高野君の綺麗な横顔を眺める事が出来て幸せだ。女子よ、もっと姿勢を正したまえ。  休み時間に即、高野君の席に向かうのも、お昼ご飯を一緒に食べるのも日々の成果でしっかり定着している。 「な、部活決めた?」  幸運にも、高野君の後ろの席を勝ち取った石井君がお昼ご飯のパンを齧りながら言った。 「んー。サッカー」  高野君が弁当箱を開けながら答える。そんなの分かりきっていたから間髪入れずに僕も答えた。 「僕も」 「ええええええええ!? 並木が?」  既に体育の授業も始まっているだけに、僕のトンマはクラス中に把握されてる。驚くのも無理はない。  お弁当を開くと、ヨシヨシ。ちゃんと昨晩、頼んでおいた高野君の好物、特製ミートボールがいっぱい入ってる。もちろん市販のやつじゃ無い。母さんの手作り。だから、一個がなかなかのジャンボサイズ。 「マネージャーで入るつもり。高野君ミートボール食べる?」 「食うっ!」  高野君が目をキラキラさせる。あぁ尊い……なんて綺麗な瞳だろう。きっと宝石で出来てるに違いない。胸の中で悶えながらお弁当を高野君へ向けた。 「はぁ? なんでマネージャー? って、美味そう! 俺も一個ちょうだーい」  ムッ、これは高野君のためにお願いしたスペシャルミートボールなんだいっ! 石井君にやるんだったら、高野君に二個献上するわいっ! なんて、言えるわけもない。  高野君が箸でミートボールを掴みながら言った。 「うわ。美味そう。愛してるよ。並木」
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