みみちゃん

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 ブロックやら、音楽が流れるマラカスやら、一人っ子なのもあって、遊び道具の数は結構なものだ。  また、主人が与えるのを嬉しがって、次々になんでも買って来るのだった。今やうちは玩具にまみれており、玩具箱からは中身が溢れているのだ。  案じていたとおり、子は飽きっぽく、一時は気に入ったものでも、すぐに放り出して見向きもしなくなった。  そんなある日、実家の母が、お人形を贈ってきたのだった。  「みみちゃん」人形というのは、知育玩具として人気であり、小さな女の子の姿をしている。  お風呂に入れることもできるし、ミルクも飲ませることもできる。股関節や肩関節を動かすことができるので万歳やお座りもできるのだった。寝かせるとまぶたが閉じ、起こすとぱっちりと目が開く。  お着換えの洋服や、ベビーカーやお医者さんごっごアイテムなど、いろいろな付属品が売られている。  受け取った時、みみちゃんは寒々しい恰好をしていた。  箱には「キャミソールみみちゃん・一緒にお風呂」と書いてあり、このみみちゃんが入浴をテーマにしたものであることを物語っている。  「他に、髪の毛の長いお洒落みみちゃんだとか、ドレスを着たパーティーみみちゃんもあったけれど、一番シンプルなものがいいと思ったから」     
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