9人が本棚に入れています
本棚に追加
ワンピースやら、パジャマやら、色々な服が売られている中、うちのみみちゃんにはこれがいい、あったかにしたほうがいいし、女の子らしいものがいいし、と考えて、ボレロ付きのスカートセットを買ったのだった。
帰宅してみみちゃんに着せて、ほらこんなに可愛くなったし、もう寒くないよ、と心から安堵した。
その瞬間、心のどこかでずっと沈んでいた違和感が、ひょこっとはっきり、浮いてきたのだった。
(子のために人形の服を買ったんじゃなくて、みみちゃんのために服を買った……)
保育園から子が戻って、ほらみみちゃん、ちゃんとお洋服きたよと見せた。
子は珍しそうにみみちゃんを触っていたが、どういうわけか、その日からほとんどみみちゃんを抱っこしなくなったのである。
「みみちゃんと遊んであげてね、可愛がってあげてね」
と、お願いする度に、抱っこしていいこいいこしてくれるのだけど、すぐに元あったクッションの上に戻し、自分は離れたところで別の遊びを始めるのだった。
(飽きたのかな)
と、わたしは思い、なぜかちょっとほっとしていた。
飽きたのなら、もう子がみみちゃんを取り落としたり、さかさにしたりすることはないだろう。
……。
最初のコメントを投稿しよう!