みみちゃん

　２歳手前の子はやんちゃで、もともとの自己主張の激しさも手伝って、保育園からいろいろ良からぬことを学んできては家の中を荒らしまわる。

　夕食の支度をしている最中、静かにしているなあと思って、コロッケまみれの手で居間を覗いてみたら、テレビのうしろの線を引っこ抜いていたり、たんすからあらゆるものを引っ張り出して空にして、更にそのたんすを階段状にしてよじ登っていたりと、まあ、大変なことをしているのだった。

　女の子なんだけど、どうにも元気が良すぎる。

　この頃は放っておくとでんぐり返しや逆立ちのまねごとをしているので、危なくて仕方がないのだった。

　保育園でもやったりやられたり、相当な猛者らしく、先生たちから寄せられる言葉も苦笑交じりの「元気いっぱいで」「自己主張があるのは良いことだけど」「どうしてどうして、かなりのもの」等、ご苦労がしのばれるものばかりなのだった。

　「人形でも与えてみたら」

　と、実家の母が言ったが、いやそれは無理だろう、この子のことだからせっかくのお人形を粗末にしかねないと思った。買い与える玩具はお人形以外のものにしていた。