一方的な

2/3
前へ
/19ページ
次へ
それは8歳の彼女の誕生日のこと。 「ねぇマコト?いつも祝ってくれてありがとね!私ね、マコトと一緒にいるの、好きだよ、いつまでもこういう、友達以上恋人未満??みたいな…そう、親友とか、腐れ縁みたいな関係でいたいね」 それは幼い子供の言った、なんとなくの言葉だったろう。 それは彼女からしたら何気なく言った感謝の言葉だったのだろう。 けれどそれは、彼にとっての最大の【枷】だったのだ。 彼は誓った、決して片想いを告げてはならないと。 片想いを告げ振られた時、それは彼が彼女の希望した【そのまま】を壊してしまうことに他ならないからである。 それが彼が彼女の隣に立つ為の、条件。 彼にとっての基準は彼女の言葉。 頼み事は全て聞く、一緒に何かをする時には必ず彼女が好きなことを優先する。 彼女の要望は絶対。 失敗は許されない。 何故なら、それが幼馴染みの彼にとっての【そのままの関係】だからだ。 自分が支える、守る、けれど、恋人未満。 決して近寄りすぎてはいけない。 決して離れすぎてはいけない。 それが彼女の希望だから。 それが彼女の希望だと、信じているから。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加