青年は春に笑う

3/9
前へ
/19ページ
次へ
「おはよーマサルちゃん、ほらちゃんと起きたならサキちゃんにもあいさつしなさいな」 マサルって誰だよと思いつつ、両親ともにこちらをニヤニヤと見るので黙って従っておくことにする 「おはよ、サキ、起こしてくれてサンキュな」 「おはよ。マサル?今日のご飯はピザよ、たーんとお食べ、8枚お食べ」 「いやマサルくん朝からガッツリだな!?マコトは食パン派なので遠慮させていただきます」 「全く、わがままなんだから…」 …とまぁここまでがサキが朝家に来た時の恒例行事、母と父がサキのイタズラをにやにやしながら眺めるのだ。 ひとつ訂正をしておくとサキの可愛いところはそこではない、文字では決して伝わることがないがこの一連のおふざけを淡々とこなすのだ、表情ひとつ変えやしない、いつも通りの食卓だと言うかのようにこなしてくるのだ そのくせ学校でその話を聞かれると死んだ目をしてフリーズする、一応歳頃の女の子、朝から幼馴染みとはいえ男の家に行っておふざけなど恥ずかしいことには変わりないと思うのだが、感情を出すのが苦手な彼女はあろうことか目が死ぬ、とても死ぬ 「あ、いや、それは、ふざけてるだけ、だから」 などと恥ずかしそうに言いながら死んだ目で顔を真っ赤にする。 ちなみにこの際弄られるのがサキはとても嫌いである。これは最初にその話をバカにされた際のことなのだが。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加