青年は春に笑う

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とまぁ回想と妄想による被虐の自虐を繰り返す訳だがそんなことしているうちに登校時間がせまる。 気づけば母と話してたサキはこちらに戻ってきてカバンを持って立っている 「マコト?準備終わってるんでしょ、なら遅刻しないうちに行こ?」 サキはさっさと親に挨拶して玄関に出る 「あ、あぁうん、行く行く、んじゃ行ってきます」 「はーい二人とも行ってらっしゃい!マコト、サキちゃんに迷惑かけるんじゃないよ!」 母さんはにぃっとベタな母親スマイルを見せながら手を振る 「かけねぇしいつも言ってるけどそんなに学校でも話してるわけじゃねぇし…じゃ、行ってくるわ」 反抗期なのかなんなのか、冷たい反応を返すのはもう中学に入ってから暫くやってきた。サキの前じゃ特にかっこつけて反抗的になるが、その度あの母さんの決して崩れない笑顔が少しだけ口角が下がって悲しい顔をするのを、俺は知っている。 だから母の日くらいはなにか、自分の出来ることをやろうと決めているのだ、それはまだ先の話だけれど。
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