21人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
父が今日は帰ってこなかった。
それでも、いつものように若の関係で帰ってこれないのだろうと思っていた。
次の日、私と母が父の帰りを待ちながら昼食を摂っていると、二人の男が家を訪ねてきた。
一人の男がもう一人の男に何かを尋ねると、尋ねられた男は「間違いありません」と言った。
男は私の父が仕える城の家臣だと名乗り、「今すぐ登城してくれ」と言った。
「何故ですか」
母は男に尋ねた。
すると、男は静かに告げた。
「お主の夫が若への謀反を企てた。
処置として本日、斬首の刑に処す事になった。最後の別れだ」
-嘘だ!父上が若に謀反だなんて!
私たちは信じられない気持ちで城へと向かった。
男の案内で城に到着し、広間へと通された。
そこには、壁に沿ってズラリと並んだ武士と、その真ん中に拘束された父がいた。
父は私たちが来たのを認めると、苦しそうに顔を歪めた。
「父上!」
私は父に駆け寄ろうとしたが、入り口の側にいた武士に「近づくな!」と止められてしまった。
「あなた…何で…」
母は喘ぐように父に問いかけた。
「私は…謀反する気など…」父の絞り出すような返答に対し、白髪混じりの武士が「まだ言うか!」と怒鳴り声を上げた。
「何度でも申し上げる!私は謀反なんて考えたこともない!」
「謀反を匂わせる書面が多数発見されたのだ!お主が謀反を企てたことは明白である!!」
「何かの間違いだ!」
「黙れ!謀反人が!!」
白髪混じりの武士は床をダン!と叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!