こく

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夢がある。 子どもの頃からの。 その為に頑張ってきた…。 つもりだ… 「はぁ…」 32歳。フリーター。独身。 一般的に私のプロフィールはそうなる。 だけど 私は女優。 子どもの頃から 華やかな舞台に憧れていた。 私は今。夢を叶えている。 …って友達は言う。 だけど…私は“なる”を夢に持った覚えはない。 なのに… 私はそこで止まってしまっている…。 「どうだったの?」 「だめだった…」 「そぉ…また次ね!」 年齢の事もあり。オーディションの話しも少なくなり 受けられたとしても 上手くいかない…そんな日々。 そんな私を今も本気で支えて応援してくれているのは母だけだ。 昔から。母は私の1番だ だからこそ…そろそろ笑顔にしてあげたいのに… 「私…人の笑顔が見たくて目指した世界だったのに…」 いつしか私すらも笑えなくなってきてしまった…。 「最近…いつ爆笑したっけ?」 独り言だけが増える…。 思い切り笑う事もしなくなり 泣く事もなくなった… 怒る事も疲れを感じてしなくなった。 きっと…こういうところで 表現力が衰えていっているんだろうな…。 とても悲しいのに…全然泣けなくなっていた…。 何度も諦めようとした。 だけど …やはりここに戻ってきてしまう…。 「だって…」 好きだから。 ただ それだけで生きていく…。 それが時々。 何よりも残酷で辛い…。 そんな事を思っている間に月日は刻々と過ぎていく…。 「はぁ…」 それでも私は……… 「風呂入ろ」 ………………ドンッ!!! 「っぁたーーーーーーーーーーーー!!!」 私の足の小指は生きているのだろうか!? 「ぁ」 久しぶりに泣いた。 その理由が 足の小指をぶつける。…だとは… 「ふ」 そんな阿保臭さに笑ってしまった…。 キュキュ………サー 「ぅ、ぅう…わーぁ!!!!!!!!」 シャワーの音に隠して 声をあらげて泣き叫ぶ。 しゃくりあげて嗚咽が出るほど。 明日もまた頑張ろう! その気持ちが嘘な訳ではないのに とてつもなく悲しくなる時がある…。 だけど私は キュキュ 「はぁ」 好きな事。夢の為に。 明日も頑張る と自分に言い聞かせて。 残酷な時の流れの中で凛としていこう。
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