私とボクと、ヘタレバカ。

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 内心溜息を吐き、肩をすくめる。あえて問い詰めるまでもなかった事だ。  コイツは――晴人は、前々から美咲に好意を寄せていた。  今も姿を拝みに来たんだか、声を掛ける時宜を計ってたんだか……たぶんそんなとこだけど、晴人の口からはっきり聞く事は一生叶わないだろう。  要するに、コイツはただのヘタレだった。  知る限りでは最上級の、超弩級の……私の脆弱な語彙力などでは形容できない程の、ヘタレオブヘタレだ。 「それは? 何よ?」 「うっ……」  いやいや頬を染めんな。アンタとの関係を勘違いされるでしょうがバカやろう。  昼休みに教室入口での立ち話というのはさほど注目を浴びるものでもないが、美咲には怪しまれかねない。  それにこのヘタレでは待っていても埒が明かないと、強行手段に出た。 「おーい、みさ――」 「わぁぁー!? まっ、ままま、待てっ待つんだ落ち着けお前ぇ!」  アンタが落ち着け。  呼びかけは遮られたが、幸い美咲は気づいたようだから良いか……って。 「あっ、こら逃げるな!? 待ちなさいよ晴人ー!」  叫んだ頃にはその後ろ姿は米粒大になっていた。そういえば運動だけはできるバカだった……が、こんな場所で発揮する能力じゃなかろうて。廊下は走っちゃいけないという厳格な掟を知らんのか奴は。
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