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事故
それは、友人と2人で釣りに行った時の事だった。
まだ時刻は2時半過ぎ…午後ではなく、午前2時半だ。
暗いうちに川に到着し、夜明けと同時に竿を出す為、友人の車でひたすら山奥に入って行く。
周りは木々に覆われた真っ暗な林道を、ヘッドライトの光を頼りに走っていると、突然友人が叫んだ。
「うわ!危ね!」
ガンッ!と、慌ててブレーキを踏み車を停める気になるが、夜道が仇となり間に合わなかった。
バンッ!と言う音と共に、何かにぶつかった衝撃が車の中まで響いた。
「おい!今の!?」
「あちゃ~…ふざけんなよ…飛び出して来やがって…」
俺の呼び掛けに、友人は眉を潜めて、心底嫌そうに車を停車させた。
友人と2人、車から降りて確認すると、そこには1匹の黒猫が横たわっていた。
打ち所が悪かったのか、首があり得ない方向に曲がっており、猫はピクリとも動かない。
どうやら、即死の様だった。
「あ~あ…可哀想に…」
俺がそう言いながら、横たわる猫に近付くと、友人が吐き捨てるように言う。
「可哀想なのは俺だ!クソッ!幸先悪ぃ!」
この暗闇でいきなり飛び出されれば、避けようも無かったので、友人の気持ちも解るのだが…
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