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ーーこれは、そういう風に出会った話だ。おれと彼女と、そして全ての出会いに連なる、とある縁のお話だ。
ーーあるいは、ただ普通にそうある、ただ普通の世界のお話だ。それを無理矢理おれの視点から始めると、やっぱり最初はこうなってしまう。
「ーー以上の理由から、アルベルト=ラプラス従軍研究員に科せられた量刑は妥当なものであり、彼が弩級の戦争犯罪人であることは、自明の事実なのであります」
そう、高慢な響きの声が言う。声音と同じで、見た目も随分プライドが高そうな老女史だった。法服の様な黒いローブに豪華な金刺繍と、権威主義も甚だしい。
その後も続けて、罪の重さだとか命の代償だとか、女史なりの告発文を読み上げるなかアルベルトーーアルは自分の状況を今一度見遣る。場所は薄暗い部屋の中心。足元から、間接照明のように伸びる青白い光だけが、この空間の光源。
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