第一章

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 それでも相変わらず、なにを喋っているか分からないけど。しかし、これくらいの台詞は飛び交っている筈だ。  『悪魔め』  『人殺し』  『大量殺戮者』  『頭の狂った科学者が』  とかなんとか。恐らくは、もっと口汚く罵られているだろうけど。  「その上、何より悍ましいのは君の“そう”成っている身体だ……一体、何があったらそんな……」  「委員長。論点がずれております。感情論に走るよう仕向けられているとはいえ、どうか冷静に。時間を有効にお使いください」  そんなことしないっての。この高慢な老女史にはアルも一瞬で辟易し、これはもう勘違いうっかりさんのレッテルを貼らざるを得ない状況だと心算を決める。  しかし、時間を有効に使ってもらうのは至極同意だ。この査問会がなにを求めて成立しているのか。あるいは、成立を阻害しようとしているのか、アルにも誰にも分かっている。
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