第一章

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 ーーまず最初に、語られるべき物語。それがあるというのなら、きっと始まりはこうあるべきだ。  それは、わたしの物語だ、と。  爆発。噴煙。あたりを覆う。  その最中を、がしゃがしゃと音を立てて行き交う何か。声はない。というか息遣いもない。石が転がり、転がった分の音だけを出すように、その行進は無感動で無機質だ。  前も見えない、煙の中を、恐れもなく。しかもこの一面に広がる乳白色には、そもそもから漂っていた霧の成分も多く含んでいる。  つまり、人体には害であるということ。だから周りに草木は無く、そもそもからゴツゴツとした石と岩とが顔を出す、ここは「終わりの山脈」だ。  そうした、あまりに物騒な只中を。  「ハァアッ!」  一閃、煌めきが走る。がしゃん、と。固い組細工でも倒れるような音。  それを察知した、何者か。それは群れるように反応する。直後に、霧と噴煙の混じった白色に、赤や緑の閃光が現れ。
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