第一章

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 その主成分が、鉄やつるつるとした物質であることを除けば、立派な死骸であった筈だ。血も出ていないが、血よりもどす黒く油臭い体液も出てる。  「ふむ。結局これ何なんだろ? 人っぽくないし、かといって亜人種のどれかってわけでもなさそうだし~~? 人形かな? でも自律駆動の術式は見られないしぃ~~? 〈聖十字槍魔法学園〉最高の頭脳をもってしてもワカランチンだよぉ」  「嘘つけ! ルルカ=ガブリエル!!」  足元の残骸をまじまじ観察する彼女を、ルルカと呼ぶ声が木霊する。  直後に、大きな閃光と爆音。一緒くたに襲う暴風が、今度こそ周囲のおぼろ気な視界を鮮明にした。  乳白色は遠ざけられ、クリアな空間は同心円上に広がる。その真ん中に立つ、一本の巨大な光の柱を起点として。
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