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お昼休み、食堂に行くと、加奈子とヒョロン君が居るのが見えた。
あのヒョロン、懲りもせず、また彼女に付きまとっているのか。
近付いて見ると、加奈子はヒョロン君と話している訳ではなく、携帯電話を操作していた。
誰かとメールのやり取りをしているらしい。
「お待たせ。
メールか?」
「あ、譲治さん。
うん、譲治さんのお母さんとね。」
はあ?
おふくろ?!
「・・・・・おふくろ、何だって言ってきた?」
「譲治さんのお部屋、お鍋とか調味料とか少なかったでしょう?
だから、色々買っておいてくれたって。」
「ふうん。
それから?」
「うん、それから、今晩、お父さんに会いに来てって。
お母さんを送りがてら、譲治さんの実家でお泊まりしましょう、って言われたんだけど、大丈夫かな?」
おふくろ~~~!!
俺に言っても送ってなんか行かないから、加奈子を使ってきやがった!
「加奈子は、いつ、おふくろとID交換したんだ?」
「譲治さんがお風呂に入ってる時かな?
優しくて楽しいお母さんよね。
メールに絵文字とか沢山入れたりして、お茶目だし。」
ほら、と示した画面を見ると、カラフルな絵やハートが飛びまくっていた。
なんだ、こりゃ。
俺にはこんなの一つも付けた事ないぞ。
相当、浮かれているんだな。
はぁ。
ため息を付きつつ、加奈子に聞く。
「で、おふくろを送って行く積りはあるの?」
「譲治さんの都合が良ければ、お父さんにも会いたいし。」
「分かった。」
今晩のホテルお泊まりはお流れだな。
まったく、おふくろには参る。
まあ、加奈子が楽しそうだから良しとするか。
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