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「お父さん、ただいま。
金魚とミヤコにご飯あげてくれた?」
そう言いながら、おふくろが一人で家に入って行く。
加奈子は首を傾げている。
「ミヤコさんって、妹さん?」
まあ、そう思うかもな。
「猫。」
「ネコ、、、ああ、猫ちゃんかあ。」
うんうんと、うなづいている。
「猫ちゃん飼ってるんですね。
ふふ、可愛いだろうな。」
加奈子は猫好きなのか。
そろそろ家に入っても良いかな?
早くミヤコと会わせてやりたくなった。
と、玄関の戸が開き、おやじが出てきた。
とたん、俺を見て、訝しげな顔をする。
こりゃあ、おふくろのやつ、俺が送ってきたって言ってないな。
「譲治?
今来たのか?」
「ああ。
ただいま、おやじ。」
何だか気まずい。
「母さんが買い物してきてくれって言ってさ、出掛けるとこだったんだ、けど、そちらの娘さんは知りあいか?」
おっと、加奈子を見たぞ。
何て答えるべきだ?
彼女?
結婚する予定?
「加奈ちゃんよ。
譲治のお嫁さん!」
おふくろが出てきた。
まだ、プロポーズもしてないんだけどな。
「嫁?
おお!でかしたぞ!!
お祝いだ!
母さん、寿司とるぞ!
極上寿司だ!」
はぁ。
祝い事には極上寿司。
俺が子供の時から変わらんな。
それよりも、さっさと中に入れてくれ。
加奈子がビックリしているじゃないか。
おまけに、近所の人も顔を覗かせている。
嫁が来たって噂になるのはあっと言う間だな。
加奈子に嫌がられたら恨むからな。
「はじめまして、お義父さん。
新城加奈子です。
よろしくお願いします。」
うん、嬉しそうに挨拶している彼女がいた。
大丈夫そうだな、これ。
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