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おふくろ達の、あまりのかしましさに固まっている加奈子。
どう声を掛けようかと悩んでいると、一匹の猫が居間に入ってきた。
「みやこ、おいで。」
呼ぶと近寄って来たので、頭を撫でてやってから抱き抱える。
そして、加奈子の側に寄り、猫を見せた。
「ほら、こいつが猫のみやこだ。」
強張ってた表情が、見る見る内に晴れやかな笑顔に彩られていく。
猫に会いたいって言ってたもんな。
「か、可愛い!!
触っても大丈夫ですか?」
そうっと手を伸ばすが、嫌がるそぶりは見せない。
うん、大丈夫かな。
「ほら、抱っこしてみろ。」
そっと腕に乗せてみるが、嫌がらない。
まあ、人懐こい猫だから、心配はしてなかったがな。
「はあぁ、可愛い~!
う~ん、モフモフ~!!」
「あらあら、加奈ちゃんになついたみたいね。
みやこもお嫁さんって認めてるわあ。」
おふくろが言う。
もう、嫁で良いよ。
必ず嫁にする覚悟だしな。
「澄子叔母さん、こちら、新城加奈子。
俺の恋人だ。
ですから、このお見合いはお断りします。」
やっと、断りを言えた。
はあ、何だか疲れたな。
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