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寝不足で迎えた翌朝。
狭い部屋で、ほぼくっついた状態で寝ていた昨夜の事は思い出したくもない。
もう、こんな拷問は味わいたく無かった。
引き留めようとするおふくろの言葉を強引に振り切り実家を後にし、加奈子の部屋に行く。
俺の部屋に泊まるにしろ、ホテルに行くにしろ、一度戻って着替えなどを調達しなければならない。
もういっその事、一緒に住んでしまった方が早いな、と思っている内に加奈子の部屋に到着する。
「ちょっと時間かかるかも知れないから、中に入っていて。」
そう言いながら、鍵を開けドアを開く加奈子。
「ああ、ゆっくりで大丈夫だぞ。」
ちょっと寝るか。
昨夜も時々目が覚め、寝た気がしない。
好きな女が隣に寝ていて手を出せないなんて、何て拷問だ。
「えっ?!」
加奈子が驚きの声を発し、玄関で固まった。
どうしたんだ?
「ああ、おかえり。
具合いでも悪くなっているんじゃないかと思って上がらせて貰ってたよ。」
年配の男の声がした。
うん?
加奈子の父親が来てるのか?
「あ、ただいま?
え?!どうして???」
加奈子の様子がおかしいな。
父親に対する感じじゃない?
「どうやって中に入ったんですか?!」
やっぱり、父親じゃないのか?!
彼女の前に出、背に庇う。
「あんた、誰だ?!」
部屋の中には60歳前後の白髪の男が立っていた。
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